食道がんの術前・術後の運動療法とトレーニングについて
食道がんと運動療法の関係
食道がんでは、食道切除手術(食道摘出・再建)や手術前後の化学療法・放射線療法が一般的です。これらの治療により、嚥下障害(つかえや誤嚥)、体重減少、筋力・持久力の低下、倦怠感、不眠、不安・抑うつ、生活の質(QOL)低下などが顕著に現れやすくなります。こうした術前・術後の身体的・心理的負担を軽減するために、運動療法は重要な役割を果たします。
具体的には、術後数週間以内に開始される「PERFECT」(有酸素運動+筋力トレーニング)が、歩行距離や呼吸機能、筋力の回復などに有効であるという報告があります 。例えば、12週間のプログラムでは、下肢筋力やVO₂peak(最大酸素摂取量)が改善し、疲労感が軽減されたという成果が観察されています。
また、術前からのプレハビリテーション(早期からの有酸素+筋トレ導入)は、体力・筋肉量の減少を予防し、術後の回復をスムーズにする効果が示唆されています。さらに、プログラム参加により不安や睡眠の問題が改善された報告もあり、抑うつやQOLの向上にも寄与します 。
ただし、食道がんの患者さんは体調の変動や治療の影響が大きいため、有酸素の種類や強度、嚥下リハビリや栄養補給とのバランスを含め、医師・理学療法士・栄養士ら専門職と連携しながらプログラムを設計・実施することが不可欠です。こうした多角的な運動療法は、体力・嚥下機能・心理面の回復を支え、再発予防や長期的健康維持にもつながる重要な手段です。


運動療法の効果
■ 嚥下筋のサポートと呼吸機能向上
有酸素運動や呼吸法トレーニングを組み合わせることで、腹式呼吸や横隔膜の可動性が改善され、嚥下を支える筋力・呼吸機能の回復に効果があります。
■ 筋力・体力の維持や増強
長期間の安静や治療によって衰えた筋力を回復させ、疲れにくい体をつくります。マイオカインという物質を促しがんの再発や転移を抑えます。
■ 姿勢の改善と体幹の安定
手術や治療による体力低下を防ぎ、日常生活への早期復帰をサポートします。特に体幹を鍛えることで、姿勢の改善や内臓の位置を正しく保つ効果が期待できます。
■ 精神的ケア
定期的な運動は、うつ症状や不安感を軽減し、前向きな気持ちを支えます。
club LOHASでの主なプログラム内容
当スタジオでは、医療・リハビリの専門知識に基づいた運動療法を提供しています。
リハビリ
・手術によって可動域が減少しているため頸部の動き改善
・頚部と体幹の一部を強化することで姿勢の改善
有酸素運動
・ウォーキングやリズム体操などで、心肺機能と全身の代謝を促進
・嚥下状態や体調に応じて強度を調整
軽負荷の筋力トレーニング
・小さなダンベルやセラバンドを使った無理のない筋トレ
・ピラティスを用いて上下半身のバランスを整えるプログラム
呼吸法とリラクゼーション
・深い呼吸と軽い体操を組み合わせて、自律神経を整えます
・不安感の軽減や睡眠の質向上も期待できます

安心・安全のサポー ト体制
-
医療資格者からのプログラムを提供
-
スタート前に個別カウンセリングを実施
-
痛みや体調に応じた調整が可能
-
少人数・予約制での実施(プライバシー配慮)
対象の方
-
食道がんと診断された方
-
食道切除手術後(術後1ヶ月~数年)
-
嚥下や体力・睡眠に不安がある方
-
姿勢が崩れた方
-
体力を取り戻し、前向きに生活を送りたい方
-
気持ちの落ち込みや不安を感じている方
FAQ
よくある質問
-
Q. リンパ浮腫があるのですが、運動して大丈夫ですか?A. リンパ浮腫に配慮した運動内容を提供しています。症状に応じた運動負荷で無理なく行います。
-
Q. グループでの参加が不安です…A. 個別対応も可能ですので、安心してご参加ください。
-
Q. 術後すぐでも運動して大丈夫ですか?A. 医師の許可があれば可能です。体の状態を見ながら安全なメニューをご案内します。
